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2021年3月6日土曜日

Rise / Gamma Ray の歌詞の考察~蜂起せよ!




暴政を失脚させ、今こそ立ち上がるべき時です。


Rise(立ち上がれ!)

Lyrics: Daniel Zimmermann



Fast decline of human values,

人間の価値の急速な衰退


Fast decay of virtues and morality,

美徳とモラルの急速な腐敗


We're falling to pieces.

我々は粉々に散っていく


Trust and faith are smashed to splinters,

信頼と信仰は粉々に打ち砕かれ


Confidence abused and torn away,

信用は乱用されて引き裂かれた


But we will remember.

でも、我々は忘れてはいない


We know who's the one to blame.

我々は、誰に責任があるのかを知っている


We hold out 'til the end of the game.

我々はゲームが終わるまで持ちこたえてみせる


And then we'll rise in victory,

そして我々は勝利の中で立ち上がり、


We'll return stronger than ever.

これまで以上の力強さで帰還する


We shall rise from agony,

我々は苦しみの中から立ち上がり

(and) Stand our ground stronger than ever before.

必ず、かつて無いほどの力強さで我々の大地に立つ



Self-destructive human nature,

自己破壊的な人類の性質は

We sell out the future of our kind.

我々人類の未来をも売り払う

We're going from heaven to hell.

我々は楽園から地獄へと落ちていく

We walk through storm and fire,

嵐と業火の中を通り抜け

Now, we have to stand the test of time.

今、我々は試練の時を迎えた

But we won't surrender.

だが我々は、決して白旗を上げない

We face the demons of our crime.

我々は我々自身の犯罪という悪魔と対峙する

A chance for us, a chance for all mankind.

我々にとってのチャンス、人類全てにとってのチャンスに

And then we'll rise in victory,

そして我々は勝利の中に立ち上がり、

We'll return stronger than ever.

これまで以上の力強さで帰還する

We shall rise from agony.

我々は苦しみの中から立ち上がり

Stand our ground stronger than ever before.

必ず、かつて無いほどの力強さで我々の大地に立つ



Hate creates destruction.

嫌悪は破壊をもたらし

Greed wants to posses.

強欲は所有を求む

Virus, mass infection,

疫病は拡大感染し

Force wants to oppress.

力は抑圧を好む

Who's the core of evil?

誰が邪悪の枢軸なのか?

Who directs our fall?

誰が我々の転落を指揮する?

Who creates the chaos?

誰が混乱を作り出す?

Who's responsible?

一体誰の責任なんだ?




And then we'll rise in victory,

そして我々は勝利の中に立ち上がり

We'll return stronger than ever.

これまで以上の力強さで帰還する

We shall rise from agony,

我々は苦しみの中から立ち上がり

(and) Stand our ground stronger than ever.

必ず、かつて無いほどの力強さで我々の大地に立つ


Stand our ground stronger than ever!

かつて無いほどの力強さで我々の大地に立て!

Stand our ground stronger than ever!

かつて無いほどの力強さで我々の大地に立て!

Stand our ground stronger than ever!

かつて無いほどの力強さで我々の大地に立て!


2021年2月27日土曜日

Are You Metal? / Helloweenの歌詞の考察~お前は一体誰だ!?


 世の中というのは面白いもので、わたしのブログにひたすら寝言を書き連ねるのが生きがいのような奇特なborderline insaneも居れば、わたしのブログに何かを期待して訪れてくれたstray sheepも居るようです。

 本来のわたしのブログの主旨は未知の言語による歌詞の究明や、誤った解釈の訂正と正しい言語理解に対する啓蒙であって、それにはまず『狂った解釈』の例を上げ、それについて一つずつ間違いを指摘していく事で正しい理解を促すという形をとるのですが、今回はそれが出来ませんでした。

 というのも、この曲は本当に今日に至るまでわたしは全く知らず、その『狂った翻訳』とされる物を見たことがありません。

 ですから、何がどうおかしいのかが分からないので摘示のしようが無いのです。

 ですが、要望があるのでしたら、やらざるを得ません。

 以下に、標題楽曲に対する、わたしの見解を記します。

 このわたしの翻訳が迷える仔羊の心に安息をもたらす事を切に願います。




Are You Metal?

(お前はメタルなのか?)

Writer: Andi Deris


I love it loud.

Let's push it higher until the gain shows just red light.

私は“それ”への愛を大声で叫ぶ。

“歪み”が正に真紅の光をもたらすまで、その“愛慕”を増幅させよう。


I love it true and played with fire.

私は“それ”を真に愛し、炎と戯れる。


I enjoy a battle without fight.

私は争闘の無い戦いを楽しむ。 


What I hear, I adhere have no fear, (and) stay sincere.

私が耳にした物、私が執着する物は恐れを持たず、嘘をつかない。


Are you metal? Are you metal? Are you? Are you?

お前は屑鉄なのか? それとも鋼なのか? お前は、お前は一体何だ?


Are you metal? Heavy metal? Are you metal? Kill!

お前は屑鉄なのか? 重厚な鋼なのか? お前は一体誰だ? 叩き潰せ!


Call me insane, call me hard wired.

私をキチガイと呼べばいい。私をジャンキーと呼べばいい。


But it's the only noise (what) I like.

だがそれはただの私が好きな騒音でしかない。


(I) Believe in loud and fast and higher, I can tell the sound of wrong or right.

大音響と速さと高音を信じ、私は善と悪の音色を語る事が出来る。 


What I hear, I adhere have no fear, (and) stay sincere.

私が耳にした物、私が執着する物は恐れを持たず、嘘をつかない。

 

Are you metal? Are you metal? Are you? Are you?

お前は屑鉄なのか? それとも鋼なのか? お前は、お前は一体何だ?


Are you metal? Heavy metal? Are you..., Metal!

お前は屑鉄なのか? 重厚な鋼なのか? お前は…、 “未来”だ!

 

Metal...! 

未来よ…!



ヘヴィメタルとは (ヘヴィメタルとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

『重力の市民たちよ、我々は皆ヘヴィメタルに改造されるのだ!…我々のメタルから副産物が派生し、この惑星を金属の屑で覆われた塊に変えるなどという誹謗を信じてはならない…ヘヴィメタルは我々のプログラムされた未来であり、それに没入するのは時間の問題なのだ』

https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%98%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%AB


wiredとは

『興奮した、(麻薬に)酔った』

https://ejje.weblio.jp/content/wired


GAIN(ゲイン)とは

『アンプにおけるGAINとは、音を増幅させるツマミです。(GAIN=歪み)と言われることもあります。しかし、音量「VOLUME」のことではありません』



2021年2月26日金曜日

Dethrone Tyranny / Gamma Rayの歌詞の考察~地獄へ叩き落とせ!



Helloweenを脱退した後のKai Hansenがつくった自身のバンドGamma Rayの2001年のアルバム『No World Order!』の冒頭を飾る一連の楽曲『Induction -> Dethrone Tyranny』の歌詞の考察です。

Michael Weikathが『Mean Mistreater』と称したKai Hansenですが、Gamma Rayを結成してからは随分と落ち着いた感があります。

結局の所Kai Hansenには信念というものがあって、Helloween時代にはそれが満たせなかったという事なのでしょう。

ですから、Gamma Rayの楽曲はKai Hansenの倫理観が前面に押し出された哲学的な曲が多いように感じます。

この楽曲『Dethrone Tyranny』はドラムスであるDan Zimmermannの楽曲のようですが、非常にGamma Rayらしい曲で、力強くアップテンポでありながら、根底に深い信仰心を据え、Keeper of the Seven Keys / Helloweenと同等の『闇との戦い』を描いた楽曲です。

こうした楽曲の端々にKai Hansenの人柄が現れていて、何故Kai HansenがHelloweenを去らねばならなかったのかが、朧気ながら見えてくるのは感慨深いところです。

※しかし、巷のLyricsは英語の歌詞すら間違いまくっているのは流石に辟易します。実際の曲、聞いていないんでしょうか?

※特に、Illuminatiについて述べているのに、『his eyes』と記述されているのは呆れるばかりです。Illuminatiの紋章は、ピラミッドに“一つの眼”です。



 Induction

(導入)

Writer: Gamma Ray


Illuminati, you’ve come to take control.

イルミナティ、お前は操作をするためにやって来た。

 

You can take my heartbeat.

お前はわたしの鼓動を操作できる。

 

But you can't break my soul.

We all shall be free.

だがお前は私の魂は壊せない。

我々全ては自由であるべきだ。

 

Illuminati, you’ll never take control.

イルミナティ、お前は決して操作出来ない。

 

Your new world order will lead to none at all.

お前の新たな世界秩序は最早、誰一人も導かない。

 

We all stand before you as one.

我々全ては一丸となってお前に立ちはだかる。

 

Heaven is what everyone to be free with welcome!

天は全ての人々を歓待を以って解放する!

 


Dethrone Tyranny

暴政を失脚させよ)

Writer: Dan Zimmermann


Someone is out there,

he is watching what I do from far in the distance.

His eye is everywhere.

誰かがその外にいて、 

彼方からわたしのする事を見ている。

彼の眼はあらゆる所に存在する。

 

I look around me, there's no one that I see.

But still I feel someone (who is) controlling my mind.

わたしは周りを見回すが、そこには誰も居ない。

だがわたしはまだ、わたしの心を操作している何者かを感じる。

 

Save your breath and run.

You can't escape the one.

呼吸と疾走を維持せよ。

君はその事実から眼を背ける事は出来ない。

 

Time has come, the world lies dying.

Our faith has gone, our souls are crying.

その時は来た。世界は死に絶えている。

我々の信仰心は彼方へと消え去り、我々の魂は嘆いている。

 

Resurrecting paradise, cry for freedom.

Killing pain (and) a million lies (in) deep on tyranny!

楽園を復興させ、自由を求めよ。

暴政の底で、痛みと嘘の塊を叩き潰せ!

 

Forces of fever, they never surrender.

As sooner or later the dark era comes.

熱病の元凶達は決して降伏しない。

すぐに、またはいずれ、闇の時代がやって来る。

 

Crying man on the run,

He is searching for freedom but there will be none.

疾走の中で嘆く人は自由を探すが、そこには何も存在しないだろう。

 

Time has come, the world lies dying.

Our faith has gone, our souls are crying.

その時は来た。世界は死に絶えている。

我々の信仰心は彼方へと消え去り、我々の魂は嘆いている。

 

Resurrecting paradise, cry for freedom.

Killing pain (and) a million lies (in) deep on tyranny!

楽園を復興させ、自由を求めよ。

暴政の底で、痛みと嘘の塊を叩き潰せ!

 

As the world is dying slowly in our hands,

世界が我々の手の中でゆっくりと死を迎えるように、

 

We'll ask for reasons until the bitter end.

苦い終焉を迎えるまで、我々はその理由を問うだろう。

 

“Who brings us all our sadness?”

誰が我々全てに悲しみをもたらす?

 

“Who brings us all the fear?”

誰が我々全てに恐れをもたらす?

 

“Who spreads disease and misery,

and steals our destiny?”

誰が病と苦悩を拡散し、我々の運命を奪い去る?

 

A poisoned heart of anger sowing the seeds of pain.

怒りで毒された心は痛みの種を撒き散らす。

 

All see the darkened skyline, and feel the deadly reign.

全ての人々は闇に包まれた地平線を見て、死の統治を感じる。

 

Ah...! Ah.....!

ああ…! ああ……!


Time has come, the world lies dying.

Our faith has gone, our souls are crying.

その時は来た。世界は死に絶えている。

我々の信仰心は彼方へと消え去り、我々の魂は嘆いている。

 

Resurrecting paradise, cry for freedom.

Killing pain (and) a million lies,

To hell with tyranny!

楽園を復興させ、自由を求めよ。

痛みと嘘の塊を根絶やしにし、

暴政と共に地獄へと叩き落とせ!




2021年1月27日水曜日

Tribute to the Past / Gamma Rayの歌詞の考察~心の属する場所への帰還


ようやく辿り着きました。

50年掛かりました。とても長い旅路でした。

これからは、未来へと進路を取ります。


Tribute to the Past(過ぎ去りし日々に捧ぐ)

Lyrics: Kai Hansen, Jan Rubach
Composed: Kai Hansen, Jan Rubach


He had found a way to leave, to somewhere far from now.

Traveling in his time machine, a dream that had come true.

彼はここより彼方にある何処かへと去る方法を見つけた。

彼のタイムマシーンでの旅により、彼の夢は実現された。


Fly! my friend, you will see, something called reality.

I feel good, I'm all right, 

(I'm) doing what I please, I travel time.

飛べ! 我が友よ。君は見るだろう。“現実”と呼ばれる何かを。

とても良い気分だ。わたしは問題ない。

わたしは気の赴くままに、時を旅する。


Far beyond the rising sun, I ride the wings of fate.

昇る太陽の遥か彼方へ向って、わたしは運命の翼に乗る。


(I'd) prepared to go where my heart belongs.

(I'll) back to the past again.

わたしの心の拠り所となる場所へと向かう準備は整った。

わたしは再び過去へと戻る。


I just want to save the universe for all mankind.

He wants to save the future of the earth.

わたしは全人類の為に世界を救いたいだけだ。

彼は地球の未来を救う事を望んでいる。


Step by step, surroundings change as years go passing by.

He only stops to gaze a little while.

過ぎ去っていく時の流れのように、わたしを取り巻く世界が一つずつ変化していく。

彼はしばし熟視する為だけに立ち止まる。


I push the button (why I'll go) further on.

I just can't get enough.

わたしはもっと先に進むためボタンを押す。 
わたしはまだ満足できないんだ。


I know I will return again, but still I'm movin' on.

わたしは再び現在へと戻って来る。でもまだ、わたしは過去へ向かい続ける。


Far beyond the rising sun, I ride the wings of fate.

昇る太陽の遥か彼方へ向って、わたしは運命の翼に乗る。


(I'd) prepared to go where my heart belongs.

(I'll) back to the past again.

わたしの心の拠り所となる場所へと向かう準備は整った。

わたしは再び過去へと戻る。


As I movin' on, I see things to come, I see tears and I hear laughter.

過去へと向かうほど、様々なものが現れ、わたしは数々の涙を見、笑い声を聞く。


Curiosity, comin' over me. 

What is next and what will happen?

好奇心がわたしの上に覆いかぶさる。

次は何だ? 何が起こる?


And I see the lies and I hear the cries and the marchin' of the people.

わたしは数々の嘘を見、数々の嘆きを聞き、行進する人々を見る。


As they go to war, heaven knows what for.

God, I think I've had enough now.

彼らは戦争へと向かうようだ。天はそれが何の為なのか知っている。

神様、もう十分です! わたしは十分知り尽くしました。


Too late, too late, I can't go back no more!

I lost control of the engine.

遅い、遅過ぎた! わたしはもう元の世界へと戻れなくなった!

わたしはエンジンのコントロールを失った。


No light, no light, (I) can't see where I have gone!

(I) can't see where I have now gone to.

暗い、全く灯りが無い!わたしが何処へ向ったのか見えない!

わたしは今何処に向ったのか全く分からない。


Where am I now? (I) stranded in time.

わたしは今何処にいるんだ? わたしは時の中で座礁した。


So many years have passed since I had gone,

And I have seen what's gonna be.

わたしが旅を始めてからとても長い月日が流れ、

わたしは物事の成り行きという物を見た。


But now I know it's useless to travel on.

しかし今となってはもう、旅を続ける必要は無くなった。


And I will return to the time and place (where) I belong to, Ah...!

だから、わたしはわたしが属するべき時と場所へと帰還しようと思う。あぁ…。


Far beyond the rising sun, I ride the wings of fate.

昇る太陽の遥か彼方へ向って、わたしは運命の翼に乗る。


(I'd) prepared to go where my heart belongs.

(I'll) back to the past.

わたしの心の拠り所となる場所へと向かう準備は整った。

わたしは過去へと戻る。


Far beyond the rising sun, I ride the wings of fate.

昇る太陽の遥か彼方へ向って、わたしは運命の翼に乗る。


(I'd) prepared to go where my heart belongs.

(I'll) back to the past again.

わたしの魂の宿る場所へと向かう準備は整った。

わたしは再び“現在”へと還る。


2020年12月16日水曜日

Sole Survivor / Helloweenの歌詞の考察~唯一人の生き残り




実に、6年以上ぶりの投稿となります。

とても長い月日が流れ、私を取り巻く環境は目まぐるしく変化しました。
幾つもの新しい世界で生まれ変っては死を繰り返し、
全く新しい常識と共に、より多くの新しい出逢いと別れを経験しました。

それは正しく輪廻そのものであって、
私は、世の中の成り行きという物を見ました。

ですが、もう十分です。
これ以上、旅を続ける必要は無いでしょう。
私はそろそろ、私が属すべき時と場所に戻ろうと思います。


そこに至った今、再び書き記す『言の葉』のモチーフは『Sole Survivor』。
Helloweenが1995年1月1日にリリースされた曲という事になっています(出典: wikipedia)。

Kai HansenとMichael KiskeがHelloweenを去った後、Andi Derisをシンガーとして迎え入れMichael Weikathと二人で書き上げた、全く新しいHelloweenの嚆矢とも言える楽曲です。

ジャンルとしてはPower Metalに属するらしく、この曲が収録されている『Master of the Rings』は全体として、Hansenが脱退した後の『Pink Bubbles Go Ape』のような俗っぽさを捨て去り、更に変貌を遂げています。

さて、ではここから歌詞の翻訳を行っていくわけですが、
例の如く、別の方が行った和訳について評論をしながら私流の歌詞の考察を行っていこうと思います。

考察を行うにあたっては、こちらのサイト『https://red-goose.com/solo-survivor-helloween/ 』の『歌詞及びその和訳』を例示する事としました。

それでは、行ってみましょう。

Sole Survivor

唯一の生存者
Composed: Michael Weikath, Andi Deris
Lyrics: Michael Weikath, Andi Deris

 

I got that fever
burning in my head 
俺の頭で燃えている熱を
くらっちまった

一体何なのでしょう? この意味不明の訳は?

まず、I got fever なのに、どうして『くらった』という受動態表現になるのでしょうか? 全く意味がわかりません。

それと、歌を聞いてみると『burning in my head』ではなく『burning my head』で、『頭を焼いている~』ですね。

そして、『get a fever』で『高熱に冒される』ですから、正しく書くとこうです。

I got that fever (that is) burning my head.
頭を焦がし続けるあの熱に冒された

もう、初っ端から狂っています。
次に行きます。

So many memories
no tear to shed

たくさんの記憶を
 洗い流す涙もなく

え? どこから『洗う』という言葉が出てきたんでしょう? 全く意味が分からない。
そして『~なく、…』って事はどこかに続くんですか? 何で続いちゃうんですか? 
理解出来ません。正しくは、こうです。

So many memories, no tear to shed.
沢山の想い出、流す涙は無い

次、行きます。

Burns like a fire
who stole my aims

炎のように燃えて
俺の目的を奪い去る

えー? どうしてそのwhoを関係代名詞だと思っちゃいました?
fireが人なわけないじゃないですか。関係代名詞ならばそこはwhichですよ?
そしてaimsですから複数形。そのくらいちゃんと訳しましょうよ。

正しくはこう。

Burns like a fire, who stole my aims?
炎のように燃えあがり、私の目標達を奪ったのは誰だ?

次に行きます。

My comrade fighters
been set astray

俺の仲間の闘士たちは
道に迷っている

はい、『迷っている』なら道案内してあげましょう。お友達なんですから。
正しくは、こう。

My comrade fighters (has) been sent astray.
私の同志達は堕落させられていった

astrayは『堕落して』(副詞)の方ですね。

大体、何ですか? 『闘士』って。『聖闘士星矢』の観過ぎなのではないでしょうか?

明らかに『戦闘を背景とした歌』ではないのですから、そこを『直訳』してどうするつもりなんでしょうか? 他については、“合っているのか間違っているのかを度外視”したとしても『意訳』ばっかりしているのに。

『set』は割と珍しい set set set という『三動詞不規則動詞活用』なのですが、ここは『set astray』ではなく『send astray』です。

意味は『give false or misleading information to ~=~に誤った情報や誤解をさせる情報を与える事』(出典:send astray : definition of send astray and synonyms of send astray [English])であって、これはこの後に続く二文節をそのまま表す事となりますが、文意としては『lead astray=誤った方向に導く、道に迷わせる、邪道に導く、堕落させる』(出典:weblio)であって、ここでは恐らく『堕落』を意味します。理由は最後に。

そしてここ、見れば分かりますが『過去分詞』なんです。何故だと思いますか?
少なくとも例示した翻訳者はここのところを全く理解できていません。
この言葉の意味も、一番最後にやって来ます。

次に行きます。

How could I know what
others had in mind for me

俺はどうやって他のことを
頭で考えることができるんだ

勘弁してもらえませんか? othersがhadしたんですよ? どうして『俺が他のことを考え』てしまうんですか?
本当に、関係代名詞くらい、ちゃんと理解して下さい。

正しくは、こう。

How could I know what others had in mind for me?
他の人たちが私の為に何を思うか、どうして私が知ることが出来ただろう?

have in mindで『考慮している』という慣用句ですね。

次行きまーす。

How could they know what
measures I take

奴らはどうやって俺が
選ぶ道を知ることができるんだ

えーと、takeが主旨だと思って『選ぶ』って訳してしまったんですか? そんなわけないじゃないですか。主旨はmeasuresの方、意味は『評価する、推し量る』です。
つまり『私の評価、私の判断』、そしてそれを指し示す関係代名詞であるwhatです。

更にいうと『How could they know / どうやって知ることができるんだ』って、他人の能力の可否なんか、分かるわけないですよね?

さっきの歌詞は自分の事だったから How could I knowだったんですけど、ここはちゃんと聞いてみれば分かりますが、How "would" they knowと歌っています。つまり『どうして知ることが出来ただろう?』で、日本語にすると似ていますが、意味は全然違います。『My comrade fighters』を『能無し』扱いしないでくださいね。

もっと言うと、『奴ら』って何すか? 曲がりなりにも『元 comrade(同志)』ですよ? 『奴』って言います? あ・り・え・な・い。

そして、『what measures I take』ではなく、ちゃんと聞いてみれば分かりますが『why measures I take』、つまり『私が判断した理由』です。“関係副詞” ですよー?

だから、こう。

How would they know why measures I take?
私の判断の理由を、どうして彼らが知ることが出来ただろう?

次行きまーす。

Sole survivor of
a kill without alert

警告なき殺戮からの
唯一の生存者

ここ、ほぼ間違っていない事は確かなのですが、私は、こう訳します。解説は一番最後に。

Sole Survivor of a kill without alert,
警告無しの殺戮からの唯一人の生き残りよ

次です。

Sing your feelings
on your song remains unheard
Sole Survivor

お前の気持ちを歌え、
聞かれることのないお前の歌にのせて
唯一の生存者

おーい、どうして命令形になっちゃうんだー?
『on your song』なら『お前の歌にのせて』じゃなくて『お前の歌に乗って』だぞー? 頭大丈夫かー?
もう、色々めちゃくちゃ過ぎ。正しくは、こう。

(Even if you) sing your feelings out, your song remains unheard, Sole Survivor.
君が心の内を叫んだところで、君の歌は誰の耳にも残らない。唯一人の生き残りよ

sing outで『叫ぶ、どなる』ですよー。慣用句、ちゃんと理解しましょうねー?
次行きまーす。

We share like brothers 
a light in the black 

俺たちは兄弟みたいに分け合って 
暗闇の中の光 

Totally blended, 
bold and erect 

完全に混ぜあった、 
太く高く

もー、正しくはこう。

We shared like brothers a light in the black.
我々は闇の中で光を兄弟のように分け合った

Totally blended, bold and erect.
太く真っすぐにそそり立ち、完全に交わった

後段は『セックスの直喩』のように見えて、実は『互いを信頼し合った事の暗喩』です。

But we’ve grown intriguers
till it’s too late

だが俺たちは策略者として育った
手遅れになるまで

育っちゃったんですね…。『育った』ならgrow upだろうなぁ…。

正しくは、こう。

But we've grown intriguers till it's to late.
だが我々は手遅れになるまで陰謀者へと変貌を遂げてしまった

はい、次…。

Time has brought fire,
fear greed and hate

時は炎を手に入れた、
恐怖は貪欲で嫌悪する

マジで言ってるっすか? bringって『運ぶ』っすよ? 何で『手に入れ』ちゃうんすか?
『恐怖“は”』? それ、主語っすか? どうして主語になっちゃったっすか?
正しくは、こう。

Time has brought fire, fear, greed and hate.
時は炎と恐れと貪欲と憎しみをもたらす

『A, B, and C』という列挙型、中学校の英語で習いますよ? 勘弁してくださいよ、本当に。
はい、次、2番のサビです。 

Now I’m crying,
I’m shattered on the ground

今俺は泣いている
大地の上で疲れ果てている

泣きたいのはこっちの方っすよ。『shattered』は確かに『くたくたになった』というshatterの過去形ですけどね、ここ、be shatteredということは過去分詞なので『くたくたにされた』ですよね?

誰から? 無いんです。その使役者が誰なのか説明されていないんです。
と、いうことは『間違い』。残念。

正しくは、こうです。

Now I'm crying. I shed on the ground.
今、私は嘆きながら大地の上で涙をこぼす

ちゃんと聞いてみれば分かりますが『I shed』と歌っています。
歌詞カード、そのまま信じたらダメっすよ?

All I find
has died anyway

俺が見つけた
全てのものは死に絶えた

はい、anywayどっか行っちゃった。勝手に単語を無かった事にしちゃ、ダメ。残念。やり直し。

正しくは、こう。

All I found has died anyway.
私が見つけた物すべてはとにかく死に絶えた

当然、『find』じゃなくて『found』ね。has died(現在完了)している物が同時に現在形であるわけないでしょ。

次行きまーす。

 Sole Survivor of
 a kill without alert
 Sing your feelings
 on your song remains unheard

ここは1番と同じなので説明は省略します。

Sole Survivor of a kill without alert,
警告無しの殺戮からの唯一人の生き残りよ

 (Even if you) sing your feelings out, your song remains unheard.
君が心の内を叫んだところで、君の歌は誰の耳にも残らない。

次が一番大切なところです。

Sole Survivor got
a voice without a sound

音のない声を持っている
哀れな虐待者たちは

Mean mistreaters
took away your ground
Sole Survivor,

お前の土地を取り上げた
唯一の生存者 

実は、これ全部で一文節なことは間違っていないのですが、意味が全然違います。
この翻訳者、全くこの歌詞の背景を理解出来ていなかった事が『私の訳』を見れば『一目瞭然』となるでしょう。

では、いきます。

『本当の意味』、つまりこの曲を書いた、恐らくはWeikathが一番言いたかった事は、
実は『これ』なんです。

Sole Survivor (who) got a voice without a sound,
音無き声を聞いた唯一人の生き残りというのは、

(Thus that means) "Mean Mistreaters" (who) took away your ground, Sole Survivor
(つまり)あなた自身の大地を奪った “不器用な者達” の事なんだ。唯一の生存者よ。

理解出来ますか? 『本当に孤独となったのは自分ではなく、去っていった仲間達の方だ』と言っているのです。

『人を本当に孤独たらしめる物、それは、弱く愚かなその人自身だ』と。

『Keeper of The Seven Keys』において『闇と光の戦い』を描いたWeikathがその先に視たものは、弱い人間が陥る『孤独と孤立』でした。それは恐らく、Weikathが当初想像もしなかった『8つ目の海』であったでしょう。

それは確かに、憎しみでも、恐れでも、無関心でも、貪欲でも、快楽でもありませんでした。
(5つ目と6つ目は不明。5つ目について歌詞カードでは『ignorance=無知』となっているが、実際には『of encurs』のように歌っている。これが『of man curse=男性の呪い』であったならそれは『快楽』と等価であると思われるが、であればやはり残りの2つが不明となる)

同志達の中に生じた不和、そしてHansenとKiskeの脱退という時の流れの中で、Michael Weikathという人はここまでの境地に至っていたのです。

ですから、この曲のタイトルである『Sole Survivor』の和訳は『唯一の生存者』等ではなく『唯一人の生き残り』、その実態は『恩恵』ではなく、闇に取り込まれた事を意味する『堕落』であって、『自ら打ち捨てられて取り残された孤児達』の事なのです。

これは『Keeper of The Seven Keys』のような『お伽噺』ではない、もはや『隠者が諳んじる愁いの唄』と称すべき物でしょう。
それは、Weikathこそが、Weikath自身が語った幻想の預言者、つまり『the seer of visions』へと変貌を遂げた事を意味します。

ここで言う所の『Mean Mistreater』とは度々楽曲の題材として取り上げられている言葉のようで(出典:weblio)意味は『人付き合いの下手な人』という事らしく(出典:Yahoo! 知恵袋)仲違いして分裂していった元Helloweenのメンバー達の抽象でしょう。

ノリの良いポップでエネルギッシュな曲調はWeikathが被った仮面『Persona』でした。
本当のWeikathの恐らく『Animus』は心の底から嘆き悲しんでいた。粉々になりながら大地に涙を落としていた。

これこそが『Rock』の真髄です。

その嘆きの意味すら理解出来ない者がWeikathの事を『ヴァイキー』だなどと呼んだとしたら、そいつは恐らく、人の心を持たない『猿が進化した何か』以外の何物でもないでしょう。



その名を汚すことを、断じて容認するわけにはいかないのです、
真なる “唯一の生存者" として。

以上です。

2014年8月23日土曜日

Keeper of The Seven Keys / Helloweenの歌詞の考察~鍵を投げなければお前は死ぬ



先日実家に帰った時に、昔のCDを回収してきました。
物置に置いてあったCDは片っ端から捨てられてしまっていたのですが、自分の部屋に持ってきておいたものはなんとか無事で被害はそれほどありませんでした。

この曲が収録された「KEEPER OF THE SEVEN KEYS-PART II」は1988年のアルバムのようで、実に26年前のアルバムです。

邦題は「守護神伝」で、PART II とあるように第一章、第二章の2章立てとなっていて、七つの鍵の守護者である主人公が世界を悪魔の手から解放するために旅立つという、いわゆるコンセプトアルバムのようです。

なかでもこの曲、Keeper of The Seven Keysはその最後を飾る、これらのアルバムの主題ともいうべき曲で、13分37秒もある大作となっています。

とてもドラマチックな曲で、まるで映画を見ているような展開に何度聞いても感動します。

それで何気なく歌詞カードを眺めていたのですが、「ちょっとこれは…」という翻訳が目につきました。

throw the key or you may die

という歌詞なのですが、歌詞カードの和訳は

鍵を捨てたら死んでしまうぞ

となっていました。これは全く逆です。正しくは「鍵を投げなければお前は死んでしまうぞ」です。

この曲の世界観では、鍵の守護者である主人公が、七つの海に1つずつ鍵を投げ入れて封印することで世界を守ることになっていて、鍵を投げることが大前提なのです。

ですから、この和訳はあまりにもお粗末であり、流石に看過出来かねました。このような初歩的な間違いがあるということは、恐らく他の部分でも間違いがあるのではないかと十分に推察でき、一通り翻訳してみることにしました。

外国語の歌詞の翻訳においては翻訳権というのが存在していて、勝手に和訳を行って公開することは少々問題があるのですが、個人的にはこういった、本来の歌をゆがめているおかしな翻訳は作詞者を冒涜していると考えていて大嫌ですし、非営利目的での研究を目的とした引用は法的に認められていて、調べてみると歌詞全体でおかしなところだらけですので全文を引用して、正しいと思われる歌詞の考察を行っていくことにします。


Make the people hold each other's hands
and fill their hearts with truth
you made up your mind so do as divined 
人類が手を握り合える世界を創らなくちゃいけない
みんなの心を真実で満たすんだ
心を決めたおまえ
運命の定めに従え 


You must ~ 等で始まっているならそういう訳でもよいでしょうが、ここは~しなければならないと訳すのは変です。Make the people ~は、人々に~をさせる、という意味です。「運命に従え」と命令形になっていますが、であれば、最初のyouはなく、make upで始まるはずです。

人々に互いに手を取らせ、彼らの心を真実で満たさせる
予言に従い、お前は心をそのように固めた。

となります。


Put on your armour ragged after fights 
hold up your sword 
you're leaving the light
よろいを身につけろ 
戦いの後でボロボロになっても 
剣をかかげろ 
光のもとを去るおまえ

とにかくいろいろと滅茶苦茶なのですが、まず手に取るべき鎧について、raggedは形容詞なので、armour raggedでひとくくりで、「ぼろぼろになった鎧」です。ragged after fightsをそのあとのhold up your swordに結び付ける論理的根拠が全くありません。

また、「光のもとを去るおまえ」とありますが、それであれば

you're leaving "from" the light.

であるはずです。この場合のleaveは去るではなく、残すだと思われます。ですから、

闘いでボロボロになった鎧を手に取れ 
剣を掲げよ 
お前はまだ光を残している(または、お前はまだ光の下にいる)

が正しいでしょう。

make yourself ready for the lords of the dark 
they'll watch your way 
so be cautious, quiet and hark
心の準備をしろ 
ヤツらはおまえを狙うだろうから 
用心深く、静かに進め

ここはあまりおかしな訳にはなっていませんが、正しく訳すと

闇の主との戦いの準備をしろ 
奴らはお前の行く手を監視するだろう
だから慎重に、静かに、耳を研ぎ澄ませ

といったところでしょうか。

You hear them whispering in the crowns of the trees 
you're whirling 'round but your eyes don't agree 
will 'o' the wisps misguiding your path 
you can't throw a curse without takin' their wrath
木々の頂から 
ヤツらの囁きが聞こえる 
あまえはグルグル回っているけど 
その目は疑っている
鬼火の魂が 
おまえを迷い道に誘う 
呪いをかければ 
ヤツらの怒りをかうだけさ 

鬼火の魂とあるのは恐らく、「will」を魂と訳したのだと思いますが、will-o-the-wispで、鬼火です。

お前は木々の上で、奴らが囁くのを聞く 
お前は彷徨い歩くが、目に見えるものを信じていない 
鬼火がお前を道に迷わせる 
彼らの怒りを買う事なく、呪いを投げることはできない

こんな感じでしょうか。

Watch out for the seas of hatred and sin 
or all us people forget what we've been 
our only hope's your victory 
kill that satan who won't let us be--kill!
憎しみと罪の海から教訓を学ばないと 
俺たちはみんな人間性を失ってしまう 
勝利こそが唯一の望み 
俺たちを縛っている悪魔を殺すのだ

Watch out for the seasで、「教訓を学ぶ」という発想は少々理解に苦しむところです。前にも書きましたが、七つの海を封印することが目的であり、そこから教訓を得ようという物語ではありません。

また、「勝利こそが唯一の望み」については、何故連体修飾語を省いたのか理解できません。この歌は鍵の守護者である主人公について歌っている歌で、主人公の勝利こそが我々の望みなのです。

憎しみと罪の海に気をつけろ 
でなければ人々は、自分たちが何であったのかを忘れる 
我々の唯一の希望はお前の勝利だ 
我々が我々であることを阻む魔王を殺せ。殺せ!

さて、サビに移ります。

You're the keeper of the seven keys that lock up the seven seas 
and the seer of visions said before he went blind 
hide them from demons and rescue mankind 
or the world we're all in will soon be sold 
to the throne of the evil payed with Lucifer's gold 
おまえは七つの鍵の守護神 
七つの海を支配する 
幻の預言者が目くら(ママ)になる前に言った 
悪魔から身を隠し人類を救うのだ 
さもなくばこの世は 
悪魔の黄金に目がくらんだ邪悪な者たちの手中に堕ちてしまうぞ

1988年だけあって差別表現がありましたが、そのまま記載しましたことをお許しください。

まず「七つの海を支配する」ですが、lock up the seven seasですから「支配」ではなく「封印」です。

また、「予言者がめしいる前に言った」とありますが、預言者についての記述なので、多分このblindは目が見えなくなったことを意味するものではなく、未来を予知できなくなったことを指しているのだと思います。

「悪魔から身を隠し人類を救うのだ」については、hide "them"が完全にどこかに消えてしまっていて、まるで主人公が隠密行動を行うように勧めているかのようです。これは完全に間違いです。

加えて、ルシファーは堕天使であり、悪魔と訳すのはあまり適切ではない気がします。

お前は七つの海を封印する事が出来る、幻想の預言者が啓示を失う前に語った七鍵の守護者 
彼らを悪魔たちから隠し、人々を救え 
でなければ我ら全てが生きるこの世界は間もなく 
ルシファーの黄金と引き換えに邪悪の王に売り払われる

二番に移ります。

You can feel cold sweat running down your neck 
and the dwarfs of falseness throw mud at your back 
Guided by spells from the old seer's hand 
you're suffering pain only steel can stand
首筋を伝って 
冷汗が流れおちる 
虚飾の小人たちが 
おまえの背中に泥を投げつける 
老いた預言者の手から放たれる 
呪いに導かれ 
鋼鉄のみが耐え得る痛みに 
苦しめられるおまえ

ここは大体同じ翻訳になりました。

お前は首を伝う冷たい汗を感じる 
不誠実なドワーフたちがお前の背中に泥を投げつける 
老いた預言者の手によって書かれた呪文に導かれ 
お前は鋼でなければ耐えられないような痛みに苦しめられる

ブリッジに入ります。

Stay well on your way and follow the sign 
fulfill your own promise and do what's divined 
the seven seas are far away 
placed in the valley of dust heat and sway
しっかりとした足どりで啓示に従って進め 
誓約を果たし定め通りの行動をとるのだ 
七つの海は遥か彼方 
ほこりと熱と動揺のまっただ中にある

なぜ「しっかりとした足どり」のような訳をするのか分かりません。直訳すれば「お前の道中でお前を良い状態に保て」ですから、足の運び方については何も言及していないのです。

valleyもどこかに消えてしまっています。この翻訳者は、いろいろと単語を勝手になかったことにしてしまっています。

道を見失うな、導きに従え 
お前の約束を果たし、予言の通りに行動せよ 
七つの海は遠い 
それは灼熱で揺れ動く埃の谷の中にある

この後サビが入り、そのあと物語は急展開します。

Throw the first key into the sea of hate 
throw the second key into the sea of fear 
throw the third key into the sea of senselessness 
and make the people hold each other's hands 
the fourth key belongs into the sea of greed 
and the fifth into the sea of ignorance 
第一の鍵を憎しみの海に投げ入れよ 
第二の鍵を恐怖の海に投げ入れよ 
第三の鍵を愚劣の海に投げ入れよ 
そして人々が手を握り合うようにするのだ 
第四の鍵を貪欲の海に投げ入れよ 
第五の鍵を無知の海に投げ入れよ

senselessnessは適切な日本語が無さそうですが、ここは全体としてはそれほど難しい歌詞でもないので大体そのままです。

1番目の鍵を憎しみの海に投げ入れよ 
2番目の鍵を恐れの海に投げ入れよ 
3番目の鍵を無関心の海に投げ入れ
人々に互いの手を握らせよ 
4番目の鍵を貪欲の海に投げ入れ
5番目の鍵を無知の海に投げ入れよ
(※上記、of ignorance については、明らかに別の単語を歌っているが、まだ何と言っているのかは判明していない)

5つの鍵を投げ入れ海を封印したころ、悪魔は世の中に疫病を流行らせます。

Disease, disease, disease my friend 
for this whole world's in devil's hand 
Disease, disease, disease my friend 
throw the key or you may die 
病気だ 友よ、病に犯されるのさ 
この世は悪魔の手中に堕ちた 
病気だ 友よ、病に犯されるのさ 
鍵を捨てたら死んでしまうぞ

「病におかされるのさ」で、ちょっと笑ってしまいました。どう読んでも「病気がやって来た」としか言っていません。ヘビーメタルやハードロック系の歌詞カードをみると「~だぜ」とか「~だろ?」とか少々頭の弱そうな翻訳が目白押しなのですが、もう少し作詞者の尊厳を守るような翻訳をしていただきたいものです。

また、「この世は悪魔の手中に"堕ちた"」であれば

this world has been in devil's hand

のように過去分詞になると思われ、forで始まっていることを考えると、「この世を悪魔の手に堕とす病がやって来た」という意味だと解釈すべきだと思います。

そして最初に書いた通り、「鍵を捨てたらしんでしまうぞ」です。「鍵を投げること諦めたら死んでしまうぞ」ならわかるのですが、この翻訳は酷過ぎます。

病、病だ、病がやってきた我が友よ 
この世は悪魔の手に落ちる
病、病だ、病がやってきた我が友よ 
鍵を投げ入れよ、でなければお前は死ぬことになるぞ


さて、クライマックスに入ります。ここからがとても興奮する展開なのですが、やはり翻訳は変でした。

On a mound at the shore of the last sea 
he is sitting, fixing your sight 
with his high iron voice causing sickness 
he is playing you out with delight 
最後の海の浜辺の小高い丘に 
ヤツは腰をおろしおまえの視界を操作する 
高い金属的な声が病気を呼び寄せ 
奴はおまえを快楽攻めにする

まず、with his high iron voice causing sickness ですが、文章を簡単にすると with his voice that causing sickness であり、「病気の元凶となる彼の声で」です。「高い金属的な声が病気を呼び寄せ」などという訳は、文法を全く理解していません。

最後の海の海岸にある丘の上で 
奴は座り、病の原因となる甲高い鉄の声でおまえの視界を操作し
奴はおまえを快楽で弄ぶ


そして、最後の一番盛り上がる部分においては全く意味不明な翻訳になっています。恐らく訳者は歌詞の意味を理解できていないでしょう。

man, who do you just think you are? a silly bum with seven stars, 
don't throw the key or you will see dimensions cruel as they can be 
don't let him suck off your power, throw the key, throw the key, throw the key! 
自分を何様だと思っているんだ? 
七つの星を手にした愚か者 
鍵を投げたら、恐ろしく残酷な時空が 
現れ出るのだ 
ヤツに力を吸い取られちゃいけない 
鍵を投げろ……!

この部分は恐らく、2人の視点によって描かれています。前半は悪魔が主人公に対して語っている内容であり、最後の一節はこの物語の語り手の言葉です。括弧でくくると、物語が理路整然とするでしょう。

「お前は自分を何様だと思っているのだ? 七つの星を持った愚かなろくでなしよ
鍵を投げるな、でなければお前の仲間と同じように残酷な世界をお前も見ることになるぞ」
奴にお前の力を吸い取らせるな、鍵を投げろ!

全体的に見て、この翻訳者は or の用法をほとんど理解していないようです。有名なところではDead or Aliveなどがありますが、or は正反対の事柄を並べるときに使い、一般的にはAしなければBになる(だからAをしろ)という風に使います。

An earthquake, squirting fire, bursting ground 
Satan's screaming, and earth swallowing him away! 
地震、噴火、地割れ 
悪魔が叫び、大地がヤツをのみ込む!

どうやら主人公は、無事に最後の鍵を海に投げ入れたようですね。

地震がおこり、炎が噴き出し、台地が裂ける 
魔王は叫び声をあげ、地球が奴を飲み込んで行く

さて、エピローグです。

You're the keeper of the seven keys you locked up the seven seas 
and the seer of visions can now rest in peace 
there ain't no more demons and no more disease 
and, mankind, live up, you're free again 
yes the tyrant is dead, he is gone, overthrown 
you have given our souls back to light 

おまえは七つの鍵の守護神 
七つの海に鍵をかけたのさ 
幻の預言者もこれで安らかな眠りにつける 
もう悪魔も災いも現れまい 
そして人類は生き続け 
おまえは再び解放される 
暴君は死んだ 王座を追われ消え去ったのだ 
おまえは人類の魂に再び光を与えたのだ

また「鍵をかけたのさ」です…。「鍵をかけた」で良いと思うのですが、こういうのがカッコいいと感じる感性は理解できません。

また、「預言者も安らかな眠りにつける」というとまるで死んでしまうようですが、restとしか言っていないので、殺してしまうのはあんまりではないかと思います。

さっきまで「病気が来た!」という歌詞だったのに、突然 no more disease を、「災い」と訳すのも全く意味がわかりませんし、you're free again を「おまえは再び解放される」というように未確定な表現を用いるのも理解不能です。

そして、you have given our souls "back" ですから、「与えた」ではなく「戻した」ですね。

お前は七鍵の守護者、七つの海を封印した 
幻想の預言者は今は安らかにその身を休める 
二度と悪魔も病も蔓延ることはなく、 
人々は生きながらえ、お前は再び自由となった 
そう、暴君は死んだ、去った、滅ぼされた 
お前は我々の魂を光の下へ還した


四半世紀前の翻訳とはいえ、英文法自体が変わってしまったことなどあるはずがないので、これはさすがに、あまりにも適当すぎるのではないかと苦言を呈したいところです。

2012年12月22日土曜日

Night Games / Graham Bonnet 歌詞の考察~孤独なナイトゲーム

グラハム・ボネットの「Night Games」です。Rainbowを去った後のソロ活動中、1981年に発表した曲だそうで、wikipediaによると、この曲は西城秀樹によってカバーされているようです。





Night Games
ナイトゲーム
See the man in the busy street.
He's almost incomplete
He takes his pleasures in strange ways 
雑踏の通りを行くあの男を見ろ
彼はほとんど出来損ないで
変わった手段で悦びを得る 
And the lady in the library
She's just like you and me
You wouldn't know her at all 
そして、図書館にいる女性
彼女はまるであなたやわたしのようだが、
あなたは彼女の事を全く理解していないだろう 
She takes a train up to the great big city
She knocks the door and steps right in
He's just a fool that some would like to pity
They worked it out in the house of sin 
彼女は巨大な街へと電車で向かい
ドアを叩いて中に入る
彼は同情するほどまさに愚かで
彼らは罪悪の家で行為を行う 
Night games
They pay for their night games
They were two numbers they don't use names
It says in the rules
It's strictly for the cools to play 
ナイトゲーム
彼らは彼らのナイトゲームに金を支払う
彼らは2つの数字で互いを呼び合い、名前を使わない
それがルールだと言う
クールな者同士が行為を楽しむための厳密な手段だと 
The Night games
They play for their night games
Always blame one last frame
Games of the night 
ナイトゲーム
彼らは彼らのナイトゲームに金を支払う
いつも最後には自分自身を責める
夜のゲーム 
Every room has a different scene
Everyone has a different dream
You can get it any way you choose 
全ての部屋には違ったシーンがあり、
全員が違った夢を持っていて
とにかく、あなたが選んだものをあなたは手に入れられる 
You can get anyone you need
Anyone in the price's agreed
And nothing left for you to lose 
あなたが必要とする人は誰でも
あなたが提示した金で納得した者は誰でも手に入る
あなたに失敗はない 
It's entertainment for the lost and lonely
And cabaret for those who dare 
それは敗者と孤独な者のためのエンターテインメントで
思い切った者達のためのキャバレー※1だ 
The last attainment of the one and only
It's got to be to get you there 
最後に達成すべき唯一の事は、
あなたがそこで“あなた”を手に入れることであるはずだ



注1:キャバレー=音楽ダンスなどのショー楽しめるレストラン通例夜営されるhttp://ejje.weblio.jp/content/cabaret


西城秀樹の「ナイトゲーム」